2015年10月11日日曜日

2015ねん10がつ11にち 木村吉野ヶ里−生命の作り出す神秘に魅せられた生涯−

このまえ、ぼくは市民図書館に行って、ぼくの住んでいる地域の歴史の本を読みました。本といっても、全部で100ページくらいの薄い冊子です。戦前の風俗とか思い出、地元の名士などについてが、地元の有志の人たちによって記されているのです。

 ぼくは、この本を学校の図書室でも見たことがあります。でも手に取って見たのは、実は今日が初めてだったのです。

 ぼくの地元は、戦前に東京帝大で細菌学の研究をして、数々の業績を残したという学者を輩出しているらしいです。なまえは木村吉野ヶ里といいます。

 木村吉野ヶ里と聞いて、ピンときました。確かこの学者さんは、ぼくの小学校の出身者なのです!総合の時間に先生が話していたことがありますね。

 次に、図書館の本を検索する機械で「木村吉野ヶ里」と名前を入れてみると、3件の本がヒットしました。そのうちの2冊は木村さん本人の書いた本で、旧字体の小難しいタイトルでした。でも県内の別の図書館に収蔵されているみたいで、読めませんでした。

 あとの1冊は、1997年にあるノンフィクション作家によって書かれた伝記の本で、「木村吉野ヶ里-生命の作り出す神秘に魅せられた生涯-」というタイトルでした。

 本は全部で200pくらいのハードカバーの本で、後ろには¥1800と書かれていました。外観は、タイトルの字体とか使われている写真とかが、ちょっと古臭くて、図書館の本だから、光沢のないビニールで表紙がカバーされていました。中には、いろいろ面白いことが書かれていました。

 木村吉野ヶ里さんは、旧制の第二高等学校を首席で卒業後、東京帝大の理学部へ進学、性格はひとりよがりでワガママ、頭の良いことを鼻にかけ、他人を見下し、女の人が三度のメシより大好きだったけど残念ながらモテなかったので、好きだった女の人をストーカーしたりして、人間関係はかなり大変 だったらしいです。

 でもまごうことなき秀才であることには違いなく、博士課程まで進学、専門は細菌の作り出す抗生物質についてだったそうです。その後30年間にわたり東京帝大で教授をつとめました。おもな業績として、東アジアに広く流行していた、とある寄生虫の引き起こす病気に対する抗生物質の発見があげられます。
 
 その一方、特にその後半生において、私生活は乱れ、65歳の退官の前々日にテクノブレイクで死んでしまったそうです。

 ともかく、彼の発見した数々の化合物が、東アジア全般の多くの人たちを救ったことは間違いなく、きっと人格がもっとすぐれていれば、もっと有名になったんだと思います。でも、そんな完璧な人間なんて、世の中にそう多くはないですよ。だって、頭がよければ、やっぱり自慢したくなりますもんね。

 次の日、小学校に行って、校長室の前を通りかかった時、木村さんの肖像写真が飾られているのを見つけました。白黒写真で、口ひげを蓄えた立派な顔をしています。やっぱり、偉い人なんだなと思いました。もしも、なんにも勉強ができなくて、性格だけそのままだったらただの嫌われ者だったと思うけど、木村さんはすごい業績をたくさん残したので、やっぱり偉いのです。

 それとも、勉強がなんにもできなかったら、もっとみんなからの風当たりが強くなるから、性格も矯正されたのかな?そういう問題でもないのかな?

 まあいいや。


 おわり。

2015年10月4日日曜日

2015ねん10がつ4にち 縄文汁を飲まされてお腹を壊すアリエルくん


 最近だんだん寒くなってきました。でも、ぼくはまだ半袖半ズボンをはいて登校しています。ぼくの経験上、登校した時の教室の温度計が13℃を下回らないうちは、まったくの薄着でも平気です。これは意地なのです。

 ところで、最近アリエルくんが保健室に運ばれて救急車で搬送される出来事がありました。事態を重くみた学校側は、生徒への面談による関連生徒の洗い出しや、数度にわたる保護者への説明会を行い、担任のタニシ先生は毎日てんてこ舞いですっかり疲れ切っているように見えました。

 事件のてんまつはこうです。クラスの男子数名が「やばい飲み物を作って、罰ゲームで負けた人間が飲む」という遊びをやっていて、近くの貝塚公園で掘ってきた貝殻(縄文時代の遺物がこのようにして簡単に手に入るのです)、その近くに生えていたセイタカアワダチソウの根っこ、学校の美術室に展示してあった縄文土器の欠片を、理科室でくすねたビーカーとアルコールランプの火で煮込み、そこに家から持ってきた「アジシオ」を振りかけて「縄文汁」を作ったのです。

 でも、当然ながら誰も飲みません。仕方がないので、丁度そのあたりを歩いていたアリエルくんを連れ出して「縄文汁」を飲むように脅迫し、みんなで寄ってたかって彼を羽交い締めして、鼻をつまませて口の中に汁を流し込んだのです。アリエルくんはワアワア泣き叫んで保健室に駆けて行ったのだそうです。

 たいへんな災難です。アリエルくんには同情します。


 おわり。