2016年2月21日日曜日

2016年2月21日 アリエルくんとアリエーヌちゃんの帰り道


  この前、学校の帰り道にアリエルくんとアリエーヌちゃんと一緒になりました。いつも一緒に帰ることはありませんが、今日みたいに偶然会うと、なんとなく二人で帰るみたいです。
 アリエルくんは、緑色のランドセルの上に、薄緑色のナップザックを背負っています。中には体操服が入っています。また、今週給食当番で、今日は金曜日だったので、今、アリエルくんの右腕には、給食着袋の細いひもがにぎられています。一方アリエーヌちゃんは、ピンク色のランドセルを背負って、右手には四角い手提げ鞄を持っています。そのバックからは、リコーダーが飛び出しているのが見えます。高学年になると、リコーダーはあまり使いませんが、アリエーヌちゃんはたぶん、3学期の終わりに行われる、学校の保護者発表会の出し物で、リコーダーを使うのかもしれません。
 アリエーヌちゃんの頭の中には、いつも他人への不満がうずまいているようです。ぼくは、二人の会話を聞いていました。
「うちのクラスの女子はファッションに関心のない子多すぎ。他の子が何で判断されるのかって見た目じゃん。髪の毛とかボサボサなの理解できない。」
  「うん」
  「あと男子はバカ多すぎ。先生はいつもニコニコしてるだけで不良の子とかぜんぜんしれないからクラス学級崩壊ぎみだし、ほんとあんなこと通うのやだ」
 「ふうん」
  アリエーヌちゃんの担任は若い女の先生で、全校集会とか学校の行事とかで会います。背が高くて、痩せていて、いつも黒い服を着ています。ちょっと神経質そうで、でも穏やかで優しそうです。アリエーヌちゃんがその先生の悪口を言うので、びっくりしました。
  アリエルくんはただアリエーヌちゃんの話にうんうん頷いています。でも、あまりアリエーヌちゃんの話に興味がありそうではありません。
 「見て見て、ミサンガ」アリエーヌちゃんはぼくに左の手首を突き出しました。青や、赤や緑のカラフルなミサンガが、5本ぐらいグルグルと付けられています。すごい量です。「どう?」
 「すっげー。ぜんぶ、違うお願いごとをかけてるの?それとも、1つの強いお願いごとがあるの?」
 「違う願い事かけてるよ」アリエルくんが代わりに答えました。「絶対多すぎだよ」
 「アリエル関係ないじゃん」と、アリエーヌちゃんはアリエルくんをにらみつけました。本人は、目の前で青から赤に変わる歩道の信号を見つめています。
 「家でも仲いいんだろうね」
 「えっ、ありえない」アリエーヌちゃんはすぐに首を振りました。アリエルくんはうつむいて黙っています。その時、後ろからアリエーヌちゃんの友達たちがやってきました。「エーヌちゃん♡」「あっチホちゃん♡」アリエーヌちゃんはぼくたちには何も言わずそのままグループに入り、信号は渡らず話しながらどこかへ行ってしまいました。
 ぼくとアリエル君二人だけになりました。信号が青に変わったので歩き始めました。あまり話すこともありません。
 「アリエーヌちゃんは家でもおしゃべりなの?」
 「あいつ外だとテンション高い」とアリエルくんは言いました。「マンガ読んだりゲームしたりしてる、普通だよ」
 「ふうん」そういうものなのかなと思いました。
 しばらく進むとイルカ公園の前でアリエルくんが、「ここで曲がる」というので、「じゃあバイバイ」といって別れました。
 二人が家の中で一体どんな感じなのか、あまり想像がつきませんでした。

 まあいいか。


 おわり。
 
 

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