2016年1月17日日曜日

2016ねん1がつ17にち 青い鉢植えとカーキ色の鉢植え


最近はとても寒いです。いつのまにかお正月も過ぎ、3学期が始まりました。毎朝、まだ暗いうちに起き、電気のついているリビングで朝ごはんを食べます。服も、半そでではいられません。白シャツ、長そでTシャツ、フリースと3枚着込みます。お母さんが寒いからと買ったネックウォーマーを首に付けて、ランドセルを背負ってでかけます。
 
 昔の小学生のランドセルは、男の子は黒、女の子は赤しかなかったそうです。でも、今の小学生は、みんなカラフルな色のランドセルです。ぼくは、黒のベースに青のストライプの入ったランドセルを背負っているし、ハシタカくんは、緑色のランドセルでした。いま、黒や赤単色のランドセルを背負っていたら、みんなから仲間はずれにされてしまいそうです。

 色とりどりのランドセルを見ながら登校すると、1時間目の国語の授業で、タニシ先生がこんなことを言いだしました。「君たちは、『まえのほうがよかったなあ』と思うことがあると思います。たとえば君たちは、春に、鉢植えでアサガオを育てるよね。君たちが5年生の時まで、この小学校では、えーと、とある学玩メーカーの鉢植えを使っていました。あの空色のプラスチック製の鉢植えね。でも、今年からはマミヤの鉢植えに変わっちゃいました。カーキ色の鉢植えにね。あ、みんなカーキ色ってみんなわかる?なんだろうなあ、兵隊さんの服の色というか、みなさんのなかに、迷彩柄の服を着ている子はいないかな?そんな感じの色だよ」

 結局、カーキ色がどんな色なのかはよくわかりませんでした。前の席の女の子は、タニシ先生のお話をむしして教科書になにか落書きをして遊んでいます。
 
 「ま、先生はほかの先生とそれほど仲良くないから、鉢植えを、えーと」先生は指を折りながらつづけます。「だれが、いつ、どのようにして、決定しているのかは、知らないんだよね」

 タニシ先生は他の先生と仲良くないなんて、なんで自分からそんなかわいそうなことを言うのだろうと思いました。というか、鉢植えのことなんて、べつにタニシ先生はいちいち気にしなくてもいいじゃないかとも思いました。

 ところで、ぼくは、4年生の時に、生徒の間である噂が広まったことを思い出しました。アサガオの鉢植えの土の中に1円玉を入れると、お金のなる木が生えてくるというのです。実際に、当時の3年生が1円玉を家から10枚持ってきて土に埋め、マジックペンで大きく「お金のなる木」と書いたのです。その鉢植えは、なんだか神社のご神体のような扱いを受けて、まわりにお賽銭がいくらか散らばっていたみたいですが、結局ただのアサガオしか生えてこなかったそうです。

 タニシ先生は続けます。「もしかしたら、君たちの中には、鉢植えの形が変わってしまったことに不満を覚える人がいるかもしれないんだよね。でもさ、マミヤ製のものに変わったのには理由があるのさ。マミヤは、みんなの使う教材一式を扱っていて、鉢植え、肥料入りの土、種をみんな用意しているんだよね。でも、SAMYO製の鉢植えだと、土や種は別に買わなきゃならないから、効率がわるい。価格もマミヤのが安いしね。だから、つまり、物事が変わるには変わるなりの理由があるし、あまり過去にとらわれちゃいけないってことさ」

 タニシ先生の言いたいことはなんとなくわかったような気がします。でもぼくは、昔の鉢植えのほうが思い出が多いし、デザインが良いと思うので、好きだなと思います。でも、タニシ先生は、新しい方が好きなのかな?

 まあいいや。


 おわり。


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